天下りは賄賂の後払いである

公務員に便宜を図ってもらい、自社に仕事を回してもらおうと思った際、直接金銭を授与することはできません。これは賄賂(わいろ)になりますので、贈賄の罪となり、刑法198条により「3年以下の懲役または250万円以下の罰金」が課せられます。

例えば、5億円の案件があったとして、担当の公務員に自社に有利に取り計らってもらって仕事を回してもらえれば、5億円の売上が見込めます。これに対する見返りとして公務員への手当を1,000万円用意したとしても、これは贈賄にあたりますので実際には渡すことはできないのです。

これを回避するため、いわゆる「天下り」による後払いの方法がありますので、一般的にはこの天下り制度を採用している企業が多いです。公務員が在職中に直接金品を授与したら賄賂になりますが、退職後に自社に就職してもらい、役員報酬や退職金として1,000万円渡せば、この場合は罪に問われることはありません。

ただ、天下りの受け入れ後、公務員が持っている人脈については、あくまで副次的なものなので実用性は期待はできません。実際の業務においては、民間ではまったく使い物にはならないレベルと覚悟しておいた方がよいです。人としておかしい人たちばかりですので、使い物にならないのはまず間違いありません。あくまで賄賂の後払いと割り切って対応することが必要です。

それもそのはず、学校を卒業してから大人になるまで一度も稼いだことがないわけですから、お金を稼ぐという厳しさの感覚が欠落しているのです。学生の頃は親に養ってもらい、大人になってからは税金で養ってもらっているわけですので、売上を上げるとかコストを下げるとか、そういう現場の感覚はまったくなく、いかにして自分の利益を最大化するかという点にしか頭にない人たちばかりです。

人格でいえば、子供のままといってもよいかもしれません。

「えっ?なんでそういう考えになるの?」となるケースが多く、一言でいえば、非常識な人たちということになります。できるだけ社外には出さず、人目に触れないような業務を任せておく必要があります。書類関連の整理はわりと几帳面な傾向がありますので、適当な仕事を作っておくとよいでしょう。

ただ、このような事情があるため、最近では企業が天下りを受け入れたものの、すぐに退職してもらうことになるケースが多く、公務員側では民間への天下りは敬遠されつつある状況にあります。

公務員が関連団体を自ら設立し、天下り先の自己調達を開始している状況にあるなか、安心して天下ってもらう企業イメージを整えておかないと足元をすくわれてしまうことにもなりかねません。

もちろん、ここまでするのは、高単価で割りのよい仕事が回ってくるメリットがあるからです。偉そうにしている役人の機嫌ぐらいはほいほい取り、天下りのポストぐらいは簡単に確保できるようでないと社長の仕事は成り立ちません。

本来なら賄賂が一番手っ取り早いのですが、これは法律的にアウトですので、手間はかかるものの、天下り方式によって対応する必要があるのです。